書籍紹介『防災に役立つ地域の調べ方講座』牛山素行(著)

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本書では、「地域での防災を考えるうえで、すべてのスタートラインとなる取り組みは、防災訓練や防災グッズをそろえることではなく、『地域の自然・社会特性を知ること』だ」という著者の考えに基づいて、地域の防災のためにどのようなことを調べるべきか、どのような方法で調べればよいかが解説されています。

内容は「1 基礎知識」から始まって、まず対象地域の地理・歴史・人口、地形、気象条件、河川などをどのように調べていけばよいかが説明されています。続いて自然災害に関して、その地域で過去に発生した災害の記録や、公的機関が作成・発表しているハザードマップなどについて説明されています。さらに地形図の読み方や現地調査のしかたなど、かなり本格的なテクニックについても書かれています。

各セクションごとに「演習」とそれに対する「作成例」、「解説」が示されており、地域での防災活動のなかで、どのように調査を進めていけばよいか、具体的に想像しやすくなっているのではないかと思います。

なお本書は 2009 年に古今書院が発行している雑誌『地理』に連載された原稿を元に加筆・修正されたものだそうですが、2011 年の東日本大震災の影響で刊行のための作業が一時中断されたため、刊行が 2012 年となりました。このあたりの経緯が「あとがき」に書かれているのですが、ここで平常時の災害対策に対する牛山先生の考えや、東日本大震災の後にあらためて本書を刊行する意味について言及されており、とても感銘を受けました。

 

【書籍情報】

牛山素行(2012)『防災に役立つ地域の調べ方講座』古今書院

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合同会社 Office SRC 代表 田代邦幸

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