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寄稿> 仙台防災枠組に基づく世界の災害リスクの概観

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リスク対策.com Web サイトに連載記事を掲載していただきました。

【海外のレジリエンス調査研究ナナメ読み!】
第 119 回:仙台防災枠組に基づく世界の災害リスクの概観
UNDRR / Global Assessment Report on Disaster Risk Reduction 2019

国連防災機関(United Nations Office for Disaster Risk Reduction:略称UNDRR)から発表されている、災害リスク軽減に関するレポートの 2019 年版を紹介しています。

2015 年に採択された「仙台防災枠組 2015-2030」で設定されている 7 つの目標に対する進捗という観点で、災害の発生状況や災害リスク軽減策の実施状況などに関する多数のデータが示されています。

下記 URL をクリックしてお読みいただければ幸いです。
https://office-src.biz/36Ed0Fw

合同会社 Office SRC 代表 田代邦幸

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「自然災害」と呼ぶのをやめよう

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昨年から「#NoNaturalDisasters」というキャンペーンが始まっているのを最近知りました。

日本語でもよく「自然災害」という言葉が使われますが、端的に言えばこのキャンペーンは、「自然災害」(natural disaster)という言葉を使うのをやめよう、というものです。

本来は「自然災害」という言葉は、地震や津波、洪水、土砂災害などの自然現象によって人間社会に発生する被害の総称として用いられます。これらの被害をもたらす自然現象そのものを人間の力で防ぐことはできませんが、これらの現象による被害を防いだり、被害規模を小さくすることはできます

しかし実際には、前述のような自然現象そのものを指して「自然災害」と呼ばれることも多いため、自然現象とそれらによる被害(災害)との区別が曖昧になりがちです。このような混同の結果として、自然現象による被害も避けられないという誤解を助長しかねず、災害対策なんてやってもムダという諦めに繋がりかねません。

英語では地震や風水害など、災害をもたらす現象を「hazard」と呼ぶので、上のような誤解を防ぐために、これからは災害をもたらすような自然現象を「natural hazard」と呼び、「natural disaster」という用語を使うのをやめよう、と提案されています(注 1)。

以上は英語での話ですが、hazard とそれらによる被害とを区別すべきなのは日本語でも同様です(注 2)。ただし hazard に相当する適当な単語が日本語になく、そのままカタカナで「ハザード」と呼ぶことが一般的なため、natural hazard は「自然ハザード」ということになります。

「自然ハザード」という呼び方は日本では馴染みがないと思いますし、私自身もそのような呼び方を使ったことはありませんが、これからは「自然ハザード」という呼び方を広めていきたいと思います。この趣旨にご賛同いただける方は、ぜひ積極的に「自然ハザード」という呼び方を使ってみてください。

ちなみに「#NoNaturalDisasters」キャンペーンの Web サイトは下記 URL のとおりです。英語だけですが、ぜひアクセスしてみてください。

https://www.nonaturaldisasters.com/

【注釈】

  1. 国連防災機関(UNDRR)(旧名称:国連国際防災戦略事務局 UNISDR)から発表される各種資料では、数年前から「natural hazard」という用語が使われています。
  2. 日本の災害基本法でも、「災害」は「災害 暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火、地滑りその他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害をいう」と定義されています(第二条)。長すぎて分かりにくいですが、要するに最後の「〜により生ずる被害をいう」という部分を見れば、hazard ではなくそれらによる被害のことを「災害」と定義していることが分かります。

 

合同会社 Office SRC 代表 田代邦幸

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