ハザード」タグアーカイブ

寄稿> 国連機関による、災害をもたらすハザードの定義と分類

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リスク対策.com Web サイトに連載記事を掲載していただきました。

【海外のレジリエンス調査研究ナナメ読み!】
第 120 回:国連機関による、災害をもたらすハザードの定義と分類
UNDRR / Hazard Definition & Classification Review Technical Report

前回に続いて国連防災機関(United Nations Office for Disaster Risk Reduction:略称UNDRR)から発表されたレポートの紹介です。

現在は地震や津波、洪水など災害をもたらし得るハザードの分類方法や用語、定義などが統一されていないため、世界規模で災害の被害状況を正確に集計・分析できないという問題があるそうです。そのような問題意識に基づいて、世界各国の主要な災害情報データベースや様々な資料を調査したうえで、統一的なハザードの分類方法や定義が提案されています。

下記 URL をクリックしてお読みいただければ幸いです。
https://office-src.biz/2FqWL3k

 

合同会社 Office SRC 代表 田代邦幸

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寄稿> 仙台防災枠組に基づく世界の災害リスクの概観

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リスク対策.com Web サイトに連載記事を掲載していただきました。

【海外のレジリエンス調査研究ナナメ読み!】
第 119 回:仙台防災枠組に基づく世界の災害リスクの概観
UNDRR / Global Assessment Report on Disaster Risk Reduction 2019

国連防災機関(United Nations Office for Disaster Risk Reduction:略称UNDRR)から発表されている、災害リスク軽減に関するレポートの 2019 年版を紹介しています。

2015 年に採択された「仙台防災枠組 2015-2030」で設定されている 7 つの目標に対する進捗という観点で、災害の発生状況や災害リスク軽減策の実施状況などに関する多数のデータが示されています。

下記 URL をクリックしてお読みいただければ幸いです。
https://office-src.biz/36Ed0Fw

合同会社 Office SRC 代表 田代邦幸

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「自然災害」と呼ぶのをやめよう

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昨年から「#NoNaturalDisasters」というキャンペーンが始まっているのを最近知りました。

日本語でもよく「自然災害」という言葉が使われますが、端的に言えばこのキャンペーンは、「自然災害」(natural disaster)という言葉を使うのをやめよう、というものです。

本来は「自然災害」という言葉は、地震や津波、洪水、土砂災害などの自然現象によって人間社会に発生する被害の総称として用いられます。これらの被害をもたらす自然現象そのものを人間の力で防ぐことはできませんが、これらの現象による被害を防いだり、被害規模を小さくすることはできます

しかし実際には、前述のような自然現象そのものを指して「自然災害」と呼ばれることも多いため、自然現象とそれらによる被害(災害)との区別が曖昧になりがちです。このような混同の結果として、自然現象による被害も避けられないという誤解を助長しかねず、災害対策なんてやってもムダという諦めに繋がりかねません。

英語では地震や風水害など、災害をもたらす現象を「hazard」と呼ぶので、上のような誤解を防ぐために、これからは災害をもたらすような自然現象を「natural hazard」と呼び、「natural disaster」という用語を使うのをやめよう、と提案されています(注 1)。

以上は英語での話ですが、hazard とそれらによる被害とを区別すべきなのは日本語でも同様です(注 2)。ただし hazard に相当する適当な単語が日本語になく、そのままカタカナで「ハザード」と呼ぶことが一般的なため、natural hazard は「自然ハザード」ということになります。

「自然ハザード」という呼び方は日本では馴染みがないと思いますし、私自身もそのような呼び方を使ったことはありませんが、これからは「自然ハザード」という呼び方を広めていきたいと思います。この趣旨にご賛同いただける方は、ぜひ積極的に「自然ハザード」という呼び方を使ってみてください。

ちなみに「#NoNaturalDisasters」キャンペーンの Web サイトは下記 URL のとおりです。英語だけですが、ぜひアクセスしてみてください。

https://www.nonaturaldisasters.com/

【注釈】

  1. 国連防災機関(UNDRR)(旧名称:国連国際防災戦略事務局 UNISDR)から発表される各種資料では、数年前から「natural hazard」という用語が使われています。
  2. 日本の災害基本法でも、「災害」は「災害 暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火、地滑りその他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する政令で定める原因により生ずる被害をいう」と定義されています(第二条)。長すぎて分かりにくいですが、要するに最後の「〜により生ずる被害をいう」という部分を見れば、hazard ではなくそれらによる被害のことを「災害」と定義していることが分かります。

 

合同会社 Office SRC 代表 田代邦幸

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太陽フレアによる事業中断の可能性

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本日、「京大天文教室 in 丸の内」の第 8 回となる、柴田一成教授の「太陽フレアと宇宙天気予報」を受講しました。

(2019 年度の「京大天文教室 in 丸の内」の詳細は下記 URL に記載されています。)
https://www.saci.kyoto-u.ac.jp/event/e_event/place/kaf/10257.html

今回は太陽フレアと、それによる磁気嵐の影響についてとても分かりやすく解説してくださいました。磁気嵐に関しては、知識としては知っていたものの、発生した場合の影響についてはあまり具体的に考えたことがありませんでした。しかしながら、もし大規模な磁気嵐が発生すると、変電所の変圧器の破損による大規模停電や、広範囲にわたる通信障害、GPS の機能不全などが発生する可能性があるとのことです。

なお、磁気嵐による障害は過去に度々発生しているそうで、講座で紹介された事例だけでも次の例があります。

  • 2003 年 10 月 28 日に大規模な磁気嵐が発生し、カナダで高緯度域を飛ぶ航空機との通信の一部に障害が発生した(飛行には影響なし)。
  • 1989 年 3 月 13 日に発生した磁気嵐の影響で、カナダのケベック州で 9 時間にわたって大規模停電が発生し、600 万人に影響が発生した。

私自身の周囲では、事業継続に関する文脈で磁気嵐が話題になったことはありませんが、英国の National Risk Register や米国の規格 NFPA 1600 では、次のとおり磁気嵐による影響に関する言及があります。BCM 関係者としては、事業中断を招きかねないリスクとして認識しておく必要があると思います。

  • 英国政府が発表している「National Risk Register」の 2017 年版では、緊急事態を引き起こしうるリスクのひとつとして、太陽フレアを含む「Space weather」がリスクマトリクスに記載されており、これに関する説明に全 71 ページ中 2 ページが割かれています。

National Risk Register of Civil Emergencies – 2017 Edition
https://www.gov.uk/government/publications/national-risk-register-of-civil-emergencies-2017-edition

  • 全米防火協会から発行されている、事業継続に関する規格「NFPA 1600」の 2019 年版では、リスクアセスメントにおいて評価すべきハザードのリスト(項番 E.7.4.2.1)の中に、「Geomagnetic storm」(磁気嵐)が記載されています。

NFPA 1600 – Standard on Continuity, Emergency, and Crisis Management
https://www.nfpa.org/codes-and-standards/all-codes-and-standards/list-of-codes-and-standards/detail?code=1600

また、講座では太陽の動向を知るために役立つ Web サイトを教えてくれました。これらのサイトもたまにはチェックしておく必要があるかなと思います。

  • 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)宇宙天気予報センター
    http://swc.nict.go.jp/
  • 宇宙天気ニュース(鹿児島工業高等専門学校の篠原学教授による)
    http://swnews.jp/
  • SolarHam – 様々な研究機関などの情報源から得られる太陽の最新情報を掲載し続けている Web サイト
    https://www.solarham.net/

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