リスク対策.com Web サイトに連載記事を掲載していただきました。
【海外のレジリエンス調査研究ナナメ読み!】
第 144 回:パンデミック後を視野に入れた世界規模でのサプライチェーン・リスクのトレンド
BSI / Supply Chain Risk Insights Report 2021
BSI(British Standard Institution:英国規格協会)は従来からサプライチェーン・マネジメントの分野に注力しており、特に「BSI Connect SCREEN」というサプライチェーン・リスク管理プラットフォームを提供するために、200カ国以上を対象として継続的に情報を収集、蓄積、分析しており、さらに毎年「Supply Chain Risk Insights Report」という調査報告書を発表しています。
その 2021 年版が 5 月に発表され、下記URLにアクセスして、氏名やメールアドレスなどを登録すれば、無償でダウンロードできるようになりました。
https://www.bsigroup.com/en-GB/our-services/consulting/supply-chain-risk/supply-chain-reports/
本報告書は次の8つの章(Chapter)から構成されており、単なる調査結果の集計にとどまらず、専門家による分析や、企業に対する助言を含む、示唆に富む報告書となっています。
1)世界的なリスクの予測に関する要約(Summary of forecast global risks)
2)貨物盗難の傾向(Cargo theft trends)
3)移住の傾向(Migration trends)
4)薬物密輸の傾向(Drug smuggling trends)
5)人為的な途絶の傾向(Man-made disruption trends)
6)事業継続の計画(Business continuity planning)
7)食品に関する不正や安全に関する傾向(Food fraud and safety trends)
8)規制変化の傾向(Regulatory change trends)
特に第 8 章の「規制変化の傾向」というセクションでは、昨年から特に報道が増えた、中国の新疆ウイグル自治区における強制労働の問題がクローズアップされています。
日本政府や多くの日本企業においては、このような問題に対して明確な態度を取られることが比較的少ないようですが、国際的には(特に欧米諸国においては)強制労働に加担しないことが非常に重視されており、政府レベルでは強制労働によって生産された商品の輸入禁止措置、企業レベルでは強制労働に関与した企業との取引停止などが厳格化される傾向にありますので、日本企業においても、このような規制強化がサプライチェーンに及ぼす影響を、今後注視していく必要があると思われます。
紹介記事は下記リンクからお読みいただければ幸いです。
https://www.risktaisaku.com/articles/-/53078
合同会社 Office SRC 代表 田代邦幸