日別アーカイブ: 2020/01/06

書籍紹介『自治体の災害初動対応 ― 近年の災害対応の教訓を活かす』室田哲男(著)

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著者の室田先生は、自治省に入省後、国土交通省河川局や総務省自治行政局地域政策課、総務省消防庁国民保護・防災部長などの役職を経て、平成 27 年 7 月から 2 年にわたって広島市副市長を務められた方で、東日本大震災、平成 25 年伊豆大島土砂災害、平成 26 年広島豪雨災害、御嶽山噴火災害、長野県北部地震といった災害対応に行政の立場で関わってこられました。

本書はそのような経験を踏まえ、近年に発生した自然災害における初動対応の課題を明らかにしたうえで、災害発生後の初動時に自治体に求められる対応や、それを実現するための平常時からの備えについて述べられています。

災害対応において基礎自治体(市町村および特別区)は非常に重要な役割を担うことになりますが、実態としては職員の数や装備などの資源が十分でなく、災害対応に必要な機能を果たすための準備が困難な自治体も少なくありません。そのような自治体においても、できるだけ工夫をして効果的な初動対応をめざす必要があると思われますが、その際に本書に書かれているような他自治体の経験や実績、教訓などが役に立つのではないかと思います。

特に「第三章 平成 26 年広島豪雨災害を踏まえた警戒・避難システムの見直し」は、まだ災害対応を経験されていないような自治体の方々にとっても、非常に有益かと思います。ここでは実際に災害対応を経験した広島市で、災害対応においてどのような課題があり、それらを踏まえてどのような見直しが図られたかが詳細に記述されています。これを他の自治体の方々がお読みになれば、今後どのような事態が起こりうるのかが具体的に想像・想定でき、備えを見直すための具体的なヒント得られるのではないかと思います。

 

【書籍情報】

室田哲男(2018)『自治体の災害初動対応 ― 近年の災害対応の教訓を活かす』近代消防社

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合同会社 Office SRC 代表 田代邦幸

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