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令和元年度 第 3 回デ活シンポジウム「首都圏を襲う台風災害の怖さを改めて学ぶ」参加

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データ利活用協議会(デ活)( https://forr.cc.niigata-u.ac.jp/duc/ )の令和元年度 第 3 回デ活シンポジウム「企業も強くなる 首都圏も強くなる 〜首都圏を襲う台風災害の怖さを改めて学ぶ〜」に参加してきました。

会場となった都道府県会館 1F 大会議室は超満席。

今回の発表内容は次の通りです(敬称略)。

第 1 部:緊急報告 – 首都圏を襲う台風災害の怖さを改めて学ぶ –

  • 「令和元年に発生した災害における防災科研の対応と今後の取り組み」 林 春男(防災科研 理事長)
    • 「SIP4Dを使った情報共有を充実させる」取出 新吾(防災科研 首都圏レジリエンス研究センター センター長補佐)
    • 「衛星リモートセンシングを災害対応に活かす」酒井 直樹(防災科研 水・土砂防災研究部門 主任研究員 / 国家レジリエンス研究推進センター 研究統括)
    • 「豪雨のリスクを可視化する」三隅 良平(防災科研 水・土砂防災研究部門 部門長)

第 2 部:分科会の取り組み紹介

生活再建分科会

「迅速な被災者生活再建の実現を目指して ~台風災害における活動報告~」

  • 田村 圭子(防災科研 首都圏レジリエンスプロジェクト サブプロ a 統括 / 新潟大学 危機管理本部 危機管理室 教授)
  • 濱本 両太(防災科研 首都圏レジリエンスプロジェクト 生活再建分科会メンバー / ESRI ジャパン株式会社 コンサルティングサービス Gr. 部長)
  • 井ノ口 宗成(防災科研 首都圏レジリエンスプロジェクト サブプロ a 分担責任者 / 富山大学 都市デザイン学部 准教授)
  • 上石 勲(防災科研 首都圏レジリエンスプロジェクト サブプロ a 統括、首都圏レジリエンス研究センター 副センター長)

インフラ分科会

「災害に活かせる企業の情報、企業に活かせる災害情報」

  • 能島 暢呂(防災科研 首都圏レジリエンスプロジェクト サブプロ a 分担責任者 / インフラ分科会会長 / 岐阜大学 工学部 社会基盤工学科 教授)

第 3 部:パネルディスカッション

「企業も強くなる 首都圏も強くなる ~首都圏を襲う台風災害の怖さを改めて学ぶ~」

  • モデレーター: 下村 健一(令和メディア研究所主宰 / 白鴎大学 特任教授 / 元 TBS キャスター)
  • パネリスト: 平田 直、林 春男、田村 圭子、能島 暢呂

 

第 1 部の発表内容の中では、個人的な興味になりますが、外国が運用しているものも含めて多数の人工衛星を活用して、災害発生後の衛星写真や観測データを提供する仕組み(衛星コンステレーション)の開発が特に興味深いと思いました。国内で発生した大規模災害の状況把握に役立つだけでなく、ここで開発された技術を海外の災害対応にも応用できる可能性が高いのではないかと思います。

第 2 部では「生活再建分科会」の発表の中で、台風 19 号における茨城県での「被災者生活再建支援システム」の活用事例が紹介されました。このシステムはこれまでの災害でも改良を重ねながら活用されていますが、今回の茨城県での事例では、iPad mini 100 台(県が準備して 5 市町に配布)などを使って、建物被害認定調査を全てペーパーレスで行ったそうです。これによって発災後約 2 週間で調査を終え、約 1 ヶ月で 8 割以上の罹災証明書を交付できたそうです。

また同じく福島県郡山市での事例では、一定の地域に対する一括認定(26 件のサンプルデータから 1,000 棟以上の浸水深を特定)や、罹災証明書の発行を「事前申請・郵送」で行なう運用などが報告されました。

第 3 部のパネルディスカッションでも、登壇された先生方から示唆に富むコメントが多数ありましたが、私個人としては、SIP4D ( https://www.sip4d.jp/ )やクライシスレスポンスサイト( https://crs.bosai.go.jp/ )に代表されるような、災害対応のためのデータ共有の仕組みを運用するためのコスト負担をどのように実現するかが非常に重要であろう、ということを再認識しました。

個々の企業が様々なデータを作成・提供したり、そのためのシステムを開発するためには、相応のコストがかかります。それらを提供してもらい、災害対応に役立つように共有する際には、データを提供する側の企業に対して何らかのメリット(金銭的利益に限らず)があるような win-win の関係においてデータが提供されるようにしないと、継続的な運用は難しいのではないかと思います。

もちろん「税金で賄う」というのが、ある意味で究極のコストシェアリングなのでしょうが、自治体にしろ政府にしろ防災関係に十分な予算がついていないような現状では、税金に頼らない運用体制を考える必要があるのだろうと思います。

次回のシンポジウムは 2020 年 2 月 28 日(金)に開催される予定とのことですので、またぜひ出席したいと思います。

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