月別アーカイブ: 2019年12月

2019 年第 12 回 危機管理塾「アクサのBCP ー北海道地震、台風19号への対応」参加

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今日は新建新聞社(リスク対策.com)主催の「危機管理塾」に参加してきました。

この「危機管理塾」はもともと「防災や BCP、リスクマネジメントに取り組んでいる組織の担当者、有識者らを講師に招き、教育や訓練、研究に関する実践的な活動を発表いただくとともに、参加者の意見交換などを通じて、平時から相談しあえる危機管理コミュニティの創造を目指します」という趣旨で開催されている勉強会です(カギカッコ内は新建新聞社 Web サイトより引用)。

今回は『アクサのBCP ー北海道地震、台風19号への対応ー』というタイトルで、アクサ生命保険株式会社の BCP&DR マネージャー様が、同社における BCM や災害対策、昨年の北海道地震、今年の台風 19 号への対応内容などについて、現在のお取り組み状況やご経験を積極的に共有してくださいました。

同社の取り組み状況や北海道地震への対応については、既に「リスク対策.com」Web サイトに記事として掲載されていますので、ある程度は知っていましたが、今回は今年の台風への対応も含めて、記事になっていない話をいろいろお伺いすることができ、大変有意義でした。

私自身が特に重要なポイントだったと思ったところは次の通りです。

BCP に関連する年間のアクティビティが計画的に実施されている

講演の中で BCP に関連するアクティビティの年間計画を共有してくださいました。これには防災対策や BCMS の認証維持のための活動はもとより、演習やテスト、教育・トレーニングなど多様な活動が組み込まれており、組織的かつ計画的な活動として定着していることがよく分かりました。

従業員教育が体系的に実施されている

前述のアクティビティの中で、特に教育・トレーニングに関しては、階層別の教育体系が整理され、計画的に実施されていました。

災害対応におけるロジスティクスが詳細に検討されている

同社では東京本社が災害などによって業務遂行できなくなった場合には、札幌本社で事業継続を図ることになっており、その際には 100 人程度の人員が東京から札幌に移動することが想定されているそうですが、これらの人員の移動ルート・手段や札幌における仮住まいなども含めて、ロジスティクスが詳細に検討され、準備されていました。

 

もちろん、同社の取り組みの中には大企業ならではという部分もあり、同じような取り組みをできる企業はかなり限られると思います。しかしながら、(物量的な部分はさておき)考え方やアプローチに関しては、たとえ中小企業であっても取り入れられる部分があるのではないかと思います。このような、せっかく共有していただいた事例からいかに学び、これから起こり得る災害や事業中断に備えていくか、お客様とともに考えていきたいと思います。

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千葉銀行、京葉銀行、千葉興業銀行が「ちば災害復興支援ファンド」(仮称)を準備中

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千葉銀行、京葉銀行、千葉興業銀行の3行が、今年の台風 15 号、19 号、21 号で被災した企業を支援するために、「ちば災害復興支援ファンド」の設立を準備中であることを発表しました。各行からの公式リリースは次の通りです(当然ながら全て内容は全く同じです)。

現状は「設立に向けた具体的な検討を開始しました」という慎重な表現にはなっていますが、3 行から正式にアナウンスされたということは、おそらく実現の可能性は高いのだろうと思います。

組成規模は 5 億円で、2020 年 1 月の設立を目指しているとの事です。復旧費用や運転資金などで困っている企業はまだまだ多いと思いますので、ぜひ実現していただきたいと思います。

一般的に、災害による直接的な被害や事業中断による間接的な被害(機会損失を含む)に対して、財務面の対策を事前に準備しておくのは、一般企業にとっては容易ではありません。したがってこのような形で事後に支援策が提供されるか、それをうまく活用できるかどうかが非常に重要になります。今後各地で起こるであろう様々な大規模災害に対しても、このような支援策が迅速に検討され、提供されることを期待したいと思います。

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雑感)三重県議会で病院の BCP に関する質問があった件について

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今日たまたま次のような記事を見つけました。

「三重県議会 病院の BCP 策定 3 割 4 年間で全院目指す」(伊勢新聞 web サイト:2019 年 12 月 4 日付け)

https://www.isenp.co.jp/2019/12/04/39234/

(ニュースサイトの記事はそのうち削除される場合が多いので勝手ながら魚拓を取らせていただきました。 —> https://megalodon.jp/2019-1206-1130-42/https://www.isenp.co.jp:443/2019/12/04/39234/

2019 年 11 月の三重県議会において廣耕太郎議員(新政みえ)が災害対策に関する質問をしており、防災対策部長と福祉医療保健部長がそれぞれ次のように回答しています。

【防災対策部長】

「千葉県では(9 月の台風15号で)道路が寸断して現場到着が遅れ、停電の復旧が妨げられた。このため、事前の伐採に加え、電力設備に近い県管理道路の倒木などを早急に除去できる協定を結びたい。中部電力や関西電力と事業負担の割合などを協議している」

【福祉医療保健部長】

「県内の病院全てでBCPを策定することが重要だが、県内で策定した病院は93のうち30にとどまる」
「策定に向けた指針をまとめ、地域別の研修会も実施して策定を促したい」

災害対策に関して、県からこのような前向きな発言があったのは良いことだと思いますが、一方でちょっとした懸念も感じます。
「策定に向けた指針をまとめ」という発言がありましたので、三重県として何らかの指針を作るということなのでしょうが、医療機関を主な対象とした BCP に関する指針(ガイドライン)は既にいくつも作成・公開されています。とりあえず Google で「医療 BCP ガイドライン」で検索すれば、次の 3 つはすぐ見つかります。

東京都福祉保健局「医療機関の事業継続計画(BCP)策定ガイドライン」
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/smph/iryo/kyuukyuu/saigai/zigyoukeizokukeikaku.html
(「一般医療機関向け」と「災害拠点病院向け」があります。)

厚生労働省「BCP の考え方に基づいた病院災害対応計画作成の手引き 」(平成 25 年 3 月)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000089048.pdf

鳥取大学医学部附属病院救命救急センター「医療機関における災害対応のための BCP 作成の手引き」
https://www.med.tottori-u.ac.jp/emergency/report.html
(「災害拠点病院以外」向けと「災害拠点病院以外」向けがあります。)

したがって、三重県内の病院で BCP への取り組みが進まないのは指針が足りないからなのだろうか?という点については疑問を感じます。既存のガイドラインを活用することで出来ることもたくさんあるのではないでしょうか?

もちろん、三重県から新たなガイドラインが発表されることで新たなノウハウやヒントが提供され、それによって医療機関における BCP や災害対策が進むのであれば、それに越したことはありませんので、多くの医療機関にとってプラスになるようなガイドラインが作成されると良いと思います。

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寄稿> 英国における地域ごとの緊急事態対応に関する課題

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リスク対策.com Web サイトに連載記事を掲載していただきました。

【海外のレジリエンス調査研究ナナメ読み!】
第82回:英国における地域ごとの緊急事態対応に関する課題
British Red Cross / People power in emergencies

英国赤十字社が英国内各地の「Local Resilience Forum」の対応計画や活動内容を調査して、地域における緊急事態対応に関する課題と提言をまとめた調査報告書です。日本の地域防災などにも参考になる内容なのではないかと思います。

下記 URL をクリックしてお読みいただければ幸いです。
https://www.risktaisaku.com/articles/-/22070

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